◆書評 「聖なる怠け者の冒険」 森見 登美彦
こんばんは社会不適合者です。
今日は書評とは名ばかりの、本の感想を書いてみます。
■あらすじ
大学を卒業して研究職について2年目の小和田君という土日はぐうたらするばかりの
怠け者の男性が主人公。ある土曜日が彼の運命を大きく変える。筆者特有の京都愛があふれる一作。
■感想
ぼくは、もともと森見登美彦さんの文体が好きで、ホントに読みやすく滑稽なまでに軽快で、その筆致はオンリーワンだと思う。本作でもその文章力はいかんなく発揮されており、長編ではあるがさっくりと読めてしまう。
ただ個人の感覚としては、主人公が怠け者というのは少し違うのではないかと感じてしまった。これは人の感覚の違いによるところでもあるが、本当の怠け者と言うのはもっと無責任で、もっと怠惰で退廃的なものではないだろうか?そう感じた。それに如何せん主人公に人間味や共感を感じづらかった。また筆者自身がこの主人公をどう動かしたらよいかとその迷いが読んでいて伝わってきてしまった。
総じてぼくの評価を言えば森見 登美彦ファンならば読んで損はないだろうが…といったような評価である。
森見さんの作品はキャラクターのおもしろさが他の人には真似できない、一個の特徴と思うが、近作品ではそこまで魅力的といえる人がでてこなかったように思う。浦本探偵や五代目、所長など脇を固めるキャストは良いが、メインが弱かった。
■蛇足
・森見 登美彦さんについて
はじめて、見たのはアニメで四畳半神話体系を見たときの事であった。
とても斬新だと感じたわけである。
こんな表現があるんだ!
そう思った。
月並みな表現ではあるが、そのドクトクの世界観は
唯一無二である。
基本一種のラブコメではあるのだが
あれはなんだろうな。
ともかくにも突き抜けた物がそこにはあった。
そして、小説も読み、その文体に憧れた。
あれは、日本語以外では伝わらないのじゃないかな。
これからもその世界が広がっていくことに
一読者として期待しています。